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き​み​は​歌​っ​て​い​た

by Lopnur

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    Includes unlimited streaming via the free Bandcamp app, plus high-quality download in MP3, FLAC and more.

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    2017年11月12日に初頒布(CD-R形態)したアルバムです。
    2015年~2017年に動画共有サイトなどで公開した「よみがえる」「澱めないや」「無化しながら」「うみべをあるく」「思い出の錨」「きみは忘れられた勁草」ほか全12トラックを収録。
    Purchasable with gift card

      ¥500 JPY  or more

     

1.
いつかは最期が来るのだとしても冗談のように笑うふたりでいたい 増えていくばかりの軌跡じゃなくとも遠く目を凝らしてはしゃいでいた 世界をこの手で塗り替えるような英雄譚を紡ぎ見せ合っては ありえないよねと腹を抱え涙を拭く指で手繰ってきた 抱きしめたすべてを忘れれば見逃してあげるねとこの期に言うなよ 処刑台を横目に眺めて欠伸をしていたのは鈍いからじゃない はじめてを噤んだ いつかがやがてになる日を知っていた 固くなる拳で戯けていた 薄情者だといま罵るかい 微笑みを遺して焼き付けるかい 世界をこの手で塗り替えられたら生まれてきたことを失くすのに 色のない喉で仮想を抉るチャチな歌も全部消してやるのに 場当たりな正しさは沸き立ち昨日の罪を褒め今日も咎を詠む 処刑台に寝かされた君が歌い続けていた血文字の祈りさ 僕らは誰のもの 少しずつ痛みを感じなくなっていた思い出のように当たり前になるのさと 悟るだけを撫でた歌と紛え、一生! 世界をこの手で塗り替えられたら賢さの自称者を根絶やすのに そんなのに媚びて仮装を捻るかつての愚かさを誰よりも惨く処すのに 苛んできたなら捨てちゃえば幸せになれるよとお前が言うのか 不真面目に呟いてきたのは同意か博愛が満ちるからじゃない それでも黙れずに場当たりな正しさに埋もれ在りし死刑囚への賞賛を見ている 処刑台に並べられたまま歌い続けていよう あの頃のように世界は僕のもの ああ、この手は僕のもの!
2.
突然生まれた奇跡と煽られし土地の今日に棲む 未だ怖々と込めた秘密を続けているよ 憎み抜いた日ばかり積み重ね いつかまた思い出してねの狂騒が叶いやしなくても 大切に温めてきた真実は「勘違い」だそう そちらが選んだものを魂と数えなくちゃね 笑い合えた日だけと書き残せ? ばかだよね そんなことが出来たのならここにはいないのに 深く沈めた錨のように飽きることなく蔦を蒔いた どんな意図なのかさえ忘れた後で 穏やかな日と巡り合うのも悲しいだろう 覚えた景色は ただあたかも守護神と気炎の皆さまが捧げた羊の血だまりだ ああ! 先入観がなんだって五年後に悪びれて 墓石に花添えりゃ胸のつかえも取れたかい? 二分と経たず呆けて「懐かしい」で恋をした! そんな“楽園”の跡地だ 「昔は良かったのにね」「誰もが幸せだったよね」…… 宣いし人を眺めている
3.
告白 04:30
いくら“楽園”に化かそうと地獄だと歌い継ぐよ この身の朽ちる代わり痣となれ あんたにはなりたかない 刻むのはそれだけだ 同じ目線になんて届かないって言ったろう 込めたまま秘めたもの 多すぎていくつかはとうに忘れ去って思い出せないや 片手間に褒めちぎりゃチョロいもんかい 背中越しの鏡に笑顔で返そう 今日も重ねた手と手に同じだけ傷を抱え 涙が枯れないように祈っていた 指先を撫でて君はただ眉を下げた 「本当が消えちゃう前に舌を噛もう」 ただ好きと言うことが許されないそれだけさ 模範的なのだと見初められてしまった この場所のひとびとは素晴らしいそうなので 型破りごっこの型が好きらしい 何人となくで殴ってみりゃチョロいもんかい 左手で捧げても気付かれないか 今日が讃えるあの日に大切がひとつ絶えた 還らぬ君の歌を胸に課すよ はじめての音はヒトを刺すオモチャとなった 心を失うのが怖いんだ いつか焦げた骨さえも断罪に果てるのなら 愚かと悪と呼ばれ歌に託そう  繋げていた手に温もりも遠く冷えた 本当が消えちゃう前に逢えるかな
4.
何ひとつ分かり合うことは無いと知った やっと知った ゴスペルが銀色を悼む なぞり遊む『愛されたかった』 冷たくなった無力な手 乾涸びていくだけだから 遥かな蔑みを想い懐かしくなったよ 衒う嫌味 譲れない欠片だけとなり あとは独り行くよと嘯いた だから二度と現れないで 不可能と知るからこそ願うんだ 何もかも奪うためにはさ 守る手間も大事なんだね 避けていくあの人あの人 塗り替えられ残らなかった これから先をそこに居る踏み台となれるなら良いかな 掲げた建前で翳し大切な武器だと見せてくれた 美しい思い出に仕立て己の素晴らしさを誇示したね かけてくれた首輪の名さえ愛おしい過去に変えることが僕にも出来るかな その夢は誰かじゃなくてその目が見出したのだろう 僕のためじゃないんだよ "あなた"だけの願いなんだ 理想に照らし出されていた 殺されることで解放された 鎖を減らして欲しくてどれほどの今を差し出しただろう あの日の罵声に囚われ鳴り響いているよ ずっとずっと あどけない事実握り締め あとは独り行くよとよろめいた だから二度と追いかけないで せめてもと思えばこそ願うんだ
5.
まだこんな世界を許せずに寂しく祈っていたね 言葉を砥ぎながら でもきっと僕らは救えない 「正しくあるべきさ」――“あなた”はほくそ笑んだのだ ずっとね 知っていたんだよ こんな不確かな叫びではひとつも守れないこと そうやってそうやって笑えないまま ぶら下げた手札には自傷の日が揺れていた 暗礁と幻想で歪ませたなら 望まれた気高さで行儀よく吐き捨てたのだ 岩かぶる飛鼠め ほらちゃんと僕らは救えない 「正しくないからさ」――“あなた”は得意げね でも聖人になんてなれないんだ 君を盾に正義を気取る熟れた脳髄を 出来るなら洗面器に詰めてバールのようなもので一晩中殴りたいや 才能無い慰みに時間を投げたら 排水路に焚べては沈んでいくのを見ていた 凡庸なタイトルに塩を混ぜたぜ どうだバレずに済んだろう 騙したとほくそ笑んだのさ 澱めなき享楽だ どんな悩ましい囀りの懸想も ふわり軽やかと煙に巻く空想も 本当はやるせない怒りを全部飲み込んで無力さに泣いていただけ そうやって金輪際笑えないのに ごく醒めた白昼夢にも異相の火が苛む どうやってこいつを諦めればいい? もう一度さえ無ければ迷わず楽になれるのにね まさかなんて体で必要ないって言いてえよ
6.
どんな言葉で目覚めた? 無知は剽げて永遠を誓えば揺蕩う先に映る影が酷く焼き付いた 追いかけてかなしくて こんな心に咲いた歌だけじゃ“あなた”との日々を願っても虚しいだけだ! 虚しいのにその裁量へ捧げても馬鹿らしくて空振るや 終ぞ何も啓けぬような環礁の果てだ 愚昧に居座り袍を迎えたぜ 『それを讃えれば仲間』……? ナイフな儀礼 咳も秘め黙った 永劫癒えぬ鉢と灸が躁を走らせた 畢えたしじまに繋がれど苦しいだけだ 苦しいのに重ね続けるのは何故だ?! 飽きを知らぬ呪詛のようさ こんな掌じゃ無力感と渇いて喉を散らす どうか潰さないでと祈るちっぽけなままでいたいのに “あなた”との日々を願っても虚しいだけだ! 虚しいだけ! うらぶれた距離に諮っても苦しいだけだ! 無駄なだけ! いつまでも君と居たいから二人きりで指切りを今日へ捧ごう 他の誰も得ることは出来ない真実の灯を円に並べたら
7.
鴎の飛び交う夢に悖るかい 答えをばらしたらやっぱり睨むかな 重ねた時間の長さに添えどこんな錆じゃせめて傷にもなれないや 出来るだけ言わなくちゃ 釘の向きが震えていても 優しくなんてなれないからいくつも歌が吐き出されてきた 醜さで固めた言葉をあいつらが嘲笑う音に並べ そうして出来た些細な今日じゃ疎ましくて仕方ないや 沈めた錨の在り処を問えばかぶりを振る前に一瞬躊躇った いつしか夕陽と別れたようだ 冷えるから戻るよ 詮ない世迷言さ 尽きるまで唱えなきゃ 底の褪せた黒ずみさえ どうしようもなさに急かされいくつも歌が零れ落ちてきた 裏返した劣等感であいつらが讃え回すそれを真似て そうして出来た借り物ばかり褒められてさ そんなもんよなあ また今日も残りを数えては 浮かんだ秘密のサインを二人きりで ただひとつ繋げたいものへ託していく 柔く手を絡めて伝う先に潜めながら 優しくなんてなれないからいつもの歌が吐き出されてくる 決して解けないありきたりを何度も色を変え塗り直して 何ひとつ成し遂げなくとも忘れられるため歩いていこう 正しくなんてなれないまま怒りさえ届かない暗闇へ そうして出来た些細な今日も同じ声で歌ってくれるかい
8.
遠靄 04:14
浅い船を浮かべながら果てを見てきた 笑う舳と惑える艫に囚われたまま 流された秘密基地に榛の旗を掲げて 谷肌へは寄り付かずに揺らされていく 烟る裏に隠されていた若しを絶ち去り 差す灯に胡乱な目で違えては縋り直し 水面から掬う寥の確かさを湛えた それは 坂道のようにぶら下げた苔のように澹い寿ぎのように ただ唇を這う 深く浸した怯懦を絡め取る術と遭って 独り接岸の意味に問い候わぬなら 決して 月と十字架の夜も逸れ出た波の七も馳せる陽炎の乞いも まだ出逢えずいたろう 浅い船を浮かべるまま果てを見ている 笑う舳と惑える艫を常に束ねて 疎に慣れた秘密基地に咲き荒れた貌を知るかい 迷い来た幼き目よその喰みで聞かせて
9.
ホントホントの数だけ流せない過去を茶化しても 一番許せずにいるのは臆病拗らせた自分だな ひどい出まかせを並べわるい子になれた気がしていた 何も痛まずにいれないや なんてね醜い建前だ 言葉は拙い 孵れない想いを詰め込み ガラスビン浮かべては拾い上げ また今度でいいよね 不思議な貝殻だよと年甲斐もどこへはしゃいでさ 君が鈍くさく転ぶからやれやれと腰を上げたのだ 波打ち際 親指だけポケットに潜めて ふわりぽつり間延びのする足跡を追いながら そんな閉ざされたひとときが静かに憂いを撫でるから 膝を抱えて剥がれた鱗を集めている 愛されることのない身の上がやるせないとしても 狭い地上に息継ぎの場所を探せるかい 好きなものそれすらも誰ひとり分かち合えないまま ホントホントを重ねてはにかみを泡と溶かすだけ こんな罪深いひとときもいつかは最期を知るのでしょう 静かに最期を知るのでしょう 波打ち際 迷いの手をポケットに隠した 濡れた髪の見返り図に苦笑いを零してみる
10.
当たり前が仰々しくて 当たり前ですらなれなくて 憧れては形に出来ずに あなたは何が好きですか わたしなら何が好きですか 追いかけても日替わりのようだ かつて来た道を忘れたいなあ 内緒でそっと消えちゃおうか 何度目だ 選ばずに来たものばかりが遠ざかれば眩く見えるよ 所詮は卑しい光だと思えたらなあ 出来るはずないねと そいつが確かに僕で ずっとモノクロを羽織ったまま祈り続けている 狂いかけたふりを重ね 本音を長く煮込み疲れ 鍵をかけて言葉は途絶えた 気付かれないよう叫ぶよ 気付かれないと嘆いているよ 並べたのはどちらの建前? かつて来た道は煩すぎて 最初の灯の骨拾い滲んでいく 選んで来たのはどれですか 振り返れど答えに詰まった 中には何にもないのだと思いたくない 出来るはずないよな そいつも確かに僕で あの日 磨く前の石はもっとあったのに 何十回何千回何億回もういっぱい悩み連ねてきたのでしょう それですら僕だ すべて本当で全部嘘で 内緒でそっと消えちゃおうか そいつも本当 選ばずに来たものばかりが遠ざかれば眩く見えるよ あれこれ惹かれて参るよなあ どうやって今日も閑かになれない 同じ声で歌ってきたのでしょう 僕じゃない僕も装うたび色は増えて遠くが描けていく ふたつはひとつになって そっと濁り黒ずんでは形を為していく 不確かに形を為していく
11.
じっと潜んでいた護られし穴蔵で ひとつひとつと色札を机上に重ねて 占う遥かをなぞる試しは数えたかい 正直を気取りたきゃ忘れちゃうよな 本当は手をとって同じ先を見ていたい 照れも好意も怨みも歌い終えたらすっと消えるような くだらない言葉たちを慎重に並べて 崩れそうねと哭いたのだ 「なんとか過ごしているよ」 嘘でも言えたらな 掌中かく揺れ染まる真白な絹糸のようさ 「もっと」「ちゃんと」「やっぱ」「だって」 悲鳴ばかり募る なんでこんな僕のことをと気持ち悪くなり塞いできた 他人のため喚いていた近い未来の虚像 重い鎧の若さに胸が軋むよな 代えも腐るような使い古した言葉たちを慎重に並べて 独り宇宙を奏でるのさ 誰も認めなかった蒲公英を手折れば 空にぱらぱらを書いてはばたいていった インスタントな明日に眠れない長い夜も 足元を見渡して項垂れるどんな朝も 今日だけ君に会えたら何度だって歌える 強がりのトークショウが止むまで悟られないように 醒めない魔法を囀ろう
12.
赤も黒く錆びた瓦礫を裂いては 何てくだらないことばかり信じて待っていた やけに細い雲も三つまでにしたいや わからないかい そんなもんかい 昨日は咳いたのに ぱらぱらさらさら 胸の奥へ魂を説いて 尖って散った言葉でも最後まで見つめたいんだ お願い行方はもっと側へ 柄杓を返す 深く刻んだ暗がりはいつまでも澱みないと知っていて 今日も繋いでいた 当然はまだ敢えてくだらないことばかり燦めかせていた 聡く見せたがりが唾きを吐いた隣じゃ嘘の枝も咲きやしないな ぼやいて靄を焚いた 吊り革を握る神様の語る道徳な夢から醒めた 勘違い、そんなはずじゃ、許してと 招かざる翼翼の雨がミサイルを背負って君を焼いた ばらばらじゃらじゃら 清く錆びた魂は凪いだ 誇り腐った言葉でも最期なら惜しまれるかな 滔々脈打つ滝のようになりたかった 痛みに添った怖がりじゃ何ひとつ救えないと知っていた

about

Lopnur 5th Album
『きみは歌っていた』
01. ラストアルバム
02. きみは忘れられた勁草
03. 告白
04. プランテイション
05. リヴァイアサンさん
06. 無化しながら
07. 思い出の錨
08. 遠靄
09. うみべをあるく
10. よみがえる
11. エンドロウルを指先に
12. 澱めないや

credits

released November 12, 2017

Produced by Lopnur
All Lyrics, Music, Programming, Artwork by rokugatsu
lopnur0126.tumblr.com
twitter.com/rokugatsu

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