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冬​虫​夏​草​は​フ​ァ​ン​ダ​メ​ン​タ​リ​ズ​ム​に​揺​蕩​う

by Lopnur

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    サークル「Lopnur」の2ndアルバムです。2010年製作。
    Out Wave Clusterのコンピレーション用に書き下ろした連作四部作(「浮華」~「ロプノールの道化」)を主軸とした、コンセプトアルバムです。
    Purchasable with gift card

     

1.
01. モノトニー 幼いから重ねた疑問を 解けないまま季節は流れた 一つ 二つ 遠く 遠く 色褪せたら離れていくんだ その背中を見つめ立ち尽くす 出来ないよな 何も 出来ないよな 歩み出せず取り残されたね 自覚はある 自覚はあるんだ 出来ないよな また朝だね 寝ていないけれど 目が覚めたらどうせ夜なんだ その繰り返し いつまでも 月日を重ねて 尚 まだまだ眠る 静かに朽ちていく 「あの日」は今じゃない 僕ではない 出来ないよな 何も 出来るのかな 一人 二人 遠く 遠く その繰り返し いつまでも 重いよ 潰されそう でもまだ続く 「始まり」すらまだで わかっているんだ でも 甘えたままさ 今日も 君も 遠く 遠く 出来るのかな
2.
02. Ante Meridiem おはよう まだ昨日? それじゃなきゃ今日かな どちらでも良いんだ 他には無いから もしも どちらかを選び取り 棄てたら 口を衝いた影が虚しく響くよ
3.
キーウィ 04:12
03. キーウィ 見上げることにも慣れてきた 遠く離れ どれくらいだろう 重ねた手を翳してみた 夢見ていた日々は重すぎて 伸ばした手は届かなくて 今はこんなにも遠く 帰らぬ空を嘆く時には 誰の目にも触れないよう隠れ か細い声を押し殺し 泣いたよ もう見えなくていい 見たくはない 何も知りたくないから 暗闇の世界にも慣れて 寂しい気持ちは麻痺した それなのに 震えていた 不安だけが生きていた ねえ、ここに居てもいいの? 答えは無いことなら 知っていた 手探りだけど 歩き始めた まだ僕には上手く出来ないけど 躓いては足を止める度に また 重ねた手の隙間から覗いた青空を呪った 帰らぬ空を嘆くだけでも 明日は来る 終わりへと近づく 臆病だから失いたくなくて ただ 腰を据えたこの世界が長く続くよう願った 羽を広げて飛び立つことを 忘れ去ってどれくらいだろう でも 重ねた手を翳したりは もうしない 走る術を知ることが出来たから 見上げるのも今は怖くないよ ……さすがにそれは強がりだけど 今ここで僕が掴んだ物 ぎゅっと抱きしめているよ 帰らぬ空を嘆くだけじゃない
4.
Todays 03:31
04. Todays 静かに壊れていった 僕らしい終わり方なのかもしれないです 多くは望んじゃいない それでもまだ足りないのかな もう何も思い出したくないよ 「明日」なんて二度と来なけりゃいいのに 起きたらまた「今日」だった 結局は夢なんだろう? ねえ、少しくらいは捻りをつけてよ 夢の中では忘れていたい もう何もしたくない 何ひとつ失いたくはないよ でも 何も抱え込みたくもない ダメすぎて笑えた 一人部屋の隅で 膝を抱え何か呟き うずくまっている 夢から覚めればまた現実です でも 夢でも辛いなら 少しはリアルの方がマシかもね なんて 救いようも無いな もう何も思い出したくないよ もう何も考えたくはないよ さっさと寝てしまおう また起きればそこは現実さ 寝付けるはずが無いよな 目を瞑る あれもこれも過ぎるよ もう何も考えたくないのに この先も延々 明日は続いていて いつかまた同じように僕を苛むのかな 目が覚め時計を覗く 嘘だろう? 「昨日」だった
5.
影追い 05:26
05. 影追い 別に言わなくていいんだよ どうせ答えは知っている 満足させられたのかな どうせ無理だよね 遠くで誰かが僕を見ている 少しはお眼鏡に適うようになって来れたのでしょうか? きっとこれが求めていたものなんだ 信じよう 遠くで誰かが僕を見ている 遠くで僕を見ている あの時思い描いていたはずの理想から すっかりかけ離れて 気付いて 戸惑って 振り返り 戻りたいといつしか願っていたよ 棄てたいのかい 消したいのかい そんなことないよ でも 増えるほどに不安は増えて 流れて行けど気味悪くて 選んだのは確かに僕で それでもどうしようもなくて 変わっていくよ 受け止められないよ どうするの 今更戻れないな 遠くで僕が見ている 誰かの言葉を今日も繰り返す なにもみえない なにも 遠くであの日の僕が見ている
6.
06. 走る王の陽徳 「どこで見ているの?」 「何が嫌なの?」 並んだ数字に狂っても 幸せはそこにあるんでしょう? それならまあ 良いんじゃない 僕が嬉しい訳じゃないよ 睨むことで巻き込まないでいて欲しいな 君は"4"より"5"が好きだね "6"になれば尚更かな 建前の言葉並べなきゃ 居ることは許されないので オモテとウラ "コワゴワ"と 「どこまで見るの?」 「何なら良いの?」 例え猫被りの"声"でも 極めたなら それさえいつか本物となるように祈るのはね もう止めなのさ
7.
浮華 05:36
07. 浮華 「『何に群がっているのだろう?』 割り込み押しのけて 覗いてみる そこに飾られていたのは 名も無い絵描きの描いた 淡い色の水仙の絵 一目で気に入って 僕はすぐに 周りに大袈裟な柵を建てた 美しいものだからさ 大切にしなきゃねと 鍵もかけて 屋根も作ってみた ちゃんとソコに並んでね もしもこの絵を見たいなら 『この、わたしに!』 予め話を通してよね 何だか良い事した気分になったな。 皆はだんだん離れていった どうしてなんだろう わからないよ 僕を否定されたみたい 泣きたいよ 泣いちゃうよ なんだかもう どうでも良くなった 鍵はずっと開けたまま どれだけ日々が過ぎただろう 気が付いたら また皆列を作っていたよ おお何だ、僕は決してはぐれ者じゃないんだね 驚かせないでくれよ まさか、この、僕が。 センスの無いカンチガイ君のはずないだろう こいつの良さがわからないだなんて バカな奴ら ああ、少し気になった ここがもう少し足りないかな…… 良いことを思いついた 僕が塗り足してあげる! 『この僕が好きであるに相応しいものじゃなきゃ』 そしたら熱が醒めた くだらなく見えた 未だに有難そうに群れている奴らの気が知れない 冷静になりゃ つまらない有触れた絵じゃないか! ところで どうして僕は夢中になっていたんだろう わからなくて怖いな、もう もっと強くならなきゃ。 『僕はね、君なんかとは違うんですから!』」 そうして いつも誰かバカにしてる 何が楽しいんだろう バカじゃないの あらら これじゃあ僕もあの人をバカにしてる 難しいね 困っちゃうな
8.
ユーブイ 05:32
08. ユーブイ 焼かれてしまうよ 焦がしてしまうよ どちらも怖くてさ 焼かれたその目で 焦がしたその手で どこまで行けるかな 「同じものを見ているんだ」なんて 熱くなった胸 「いつまででも信じているよ」 明日になれば責めるけど あなたの優しい声を聞いて 明かりがまた一つ灯り 進む道が開けていくのでしょう なんてね 何を求められ見られているのか 気付いてしまったね 知らない振りして隠して歌えば 零れる嘘の詩 並び立つ僕らの世界たちは近くて遠いな 「一人きりで生きていくの」 そうなれたら嬉しいね 誰かのキライを知る度に 明かりをまた一つ消して 選択肢を一つ棄てていく なんてね 暗く閉ざしたその先には何が待つの 嫌な顔はしないでねと呟く 誰にも届かぬ声 近くにあるはずの日々を 遠くで眺めているのさ ここに居るのに ここがどこに在るのかわからなくて どうせ僕は何も言えないまま過ごしていくだけ 言えないままいつか全て過去に変えていくだけ ほんの小さなことだから 気付かなくて 今日も笑って失くすのでしょう きっと 「またどこかで会えたら」なんて わかってるよ そんな事はさせないくせに よくもまあ 言うものだね でも ここで君が泣いていた 笑っていた せめてそれは嘘じゃないと 僕はいつまでも願っているんだよ
9.
09. ブラックマイン 掘り当てたコレでは満足できないのです もう何にも無いくせに 必死で探すフリだけするよ 大層な意味など無くてもいいや 本当にそう思えたらなあ 一つ見つけ手に入れたら 次は二つ目が欲しくなるもので そして並べたら邪魔になって崩してみただけ それじゃ何が出来たの 素敵な記憶だけ掘り当てられたらいいな もうどれだけ来たんだろう いつだって見たくないものばかり 変わり行くはずなのに どうして今も思い出すの ここまで来て戻れなくて 急に誰かの目が気になり出して 触れれば触れるほど嫌になって それでも明日に追い立てられ 深く深く沈んでいく どうせどこまで行けど同じ色で どす黒いままで終わるのでしょう 辿り着いた時そこで何が見えるの
10.
10. ネビエクライド 今も何一つ知らないでいれたら こんな事ばかり思い返し 寝付けない夜も無いんだろう 僕はまた忘れ去ってしまう 憧れなのかもわからなくて ただ何も言わず見ていた 悲しいくらいじゃ僕は変われない 悲しいだけじゃ きっと 同じ目を持って生きられたらいいな 何が良いのかも 足りないのかも 怖がらないで言えるんだね 僕なんか せめて真似をしても まだ知らないことがたくさんあって 迷子になってしまうから 君が見る今を僕は歩けない 同じ目線に届きはしない 背伸びしてみても何も掴めない どこにいるのか 見つかるはずないさ あの日見上げていた灰の塔が 妙に眩しく見えて 目を細め仰いだ 開きすぎたこの距離は 僕には取り戻せないの? 繋いだ手も 交わした言も どうして離れていってしまうんだろう 思い描いては僕に重ねても 当てはまらない 何も 悲しいくらいじゃ僕は変われない 現在地さえ忘れてしまう 偽りのままじゃ何も届かない 暗がりの中探し迷っているよ 悲しいくらいに何も変われない このままずっと 見上げているんだ ずっと
11.
蜀犬吠日 05:48
11. 蜀犬吠日 抱えた荷の重さで 前に進めなくなるよ 捨て方がわからないよ 今が良いよ 何が出来るのだろう 考えたりもするけど 何も思いつかないよ 明日にしよう そうさ あの時と同じ こうしていることも同じ なぞるだけだよね 予定通りなのさ ここまでは 完成の無いパズルを組み立てながら 今日の為 明日を見捨てているんだよ どうせ待っていれば日付は変わる ただ そこに僕のいる場所は無いんだろうね その前になんとかしなきゃ 怯え続けていると それが普通になるから たまに良い事があると 不安になる 厚い雲に覆われ 陽を知らぬ犬も きっと こんな気持ちで叫んでいるのかもね あの日描いた未来はどんな形をしていただろう 振り返り すぐに 描いたことは無いと気付いたよ 目的の無い毎日は流れていくよ 同じように明日も流れていくんだね そろそろストックさえ尽きちゃいそうだな あと何日(いくつ)残ってるだろう 数えたくない とりあえずなんとかしなきゃ 気付けばもう3時 皆寝ている やりたいことなんか何一つ無いさ 無いはずさ ええと 何から試そう 愛想笑いが特技なの やる気が出ないな 「なりたいものが何も無いんだよ」 言い聞かせている 展望の無いパズルを組み立てながら 今日の為 明日を見捨てていくんだよ どうせ待っていれば「未来」になるさ ただ そこに僕のいる場所は無いんだろうね その前になんとかしなきゃ とりあえず 夜のうちに寝ろ
12.
12. 水と醴とサイレント 僕らはずっと笑っていたい そう願うほどぎこちなくなった 何て言おうか 何て返そうか 悩むけれども話せないままで 積み上げた言葉 どこまで覚えているの? 忘れたかな 僕らはずっとこの距離を守り続けていけるの? 違うでしょ そんなんばかり考えて またひとつ 悲しく笑うんだ そんなに競って 僕は焦って 追いつけなくて じゃあねも言えずにただ手を振るよ そうでもないよ 手を振るだけじゃ済みそうになくて 聳え立つ地下にさようなら 見ていないよ 何をしたの? 何回か「て」を叩くだけで楽しく過ごせるそうさ 素敵だね 笑い転げりゃ見ているだけ 醒めた後 星をつつくだけさ 積み上げたものが崩れていく足音 恐れながら 僕らはずっとこの場所で手を叩いていられるの? そんなこと今考えてどうすんだ でもどうせ今日も黙ったままさ 僕らはずっと笑っていたい そう願うほど何も言わなくなった
13.
13. ロプノールの道化 人と違うことは何も誇れるもんじゃない もしも誇れたのならば どうせポーズなんでしょう ヒトのフリが好きなのかい? そこの不良品 呼吸みたく愛想笑い もはや救えないね どうせ求められるものなんて "思い通り動くこと"だけさ 関係ないさ僕にはね 「それでいいんじゃない?」 反感なんて見せちゃダメ 生きていたいでしょう 感情なんて他人任せ それでいいんじゃない? 温情なんてそんなもんで 無いものなのです 輪の左 紐を下げて 首輪のようだね タリムは白河の水 息もさせないほど そこで"気付いてしまった"として それが何の意味になるのでしょう 救いの言葉も 歌い方も そんなのとっくに忘れてしまったよ 笑えないことばかりだな 単純なんだ何もかも ずっと知っていた 傍観していた訳じゃない 逃げ足りないだけ 関係ないさ君にもね どうせ同じさ 正義漢ぶった看守は言う 「忠誠が足りない」 肌蹴た罵声と迫る続き 本当のことなど分からないのに 既にもう その矢は放たれたんだ 知らなくてもいいほど見てしまった ヒトのフリが趣味なのです それも飽きたな 恥の多い生涯と 水面が揺れる音
14.
14. 廃黜とソリタリィ 誰かが嘲(わら)えば 誰かは見上げた 誰かは願って 誰かは見てしまったんだ ひとりが落ち着くようになれば ふたりは常に息苦しいものとなるのかな それでも誰かと繋がりたいと 愚かに欲張るから傷ついて 閉じた瞳に映っているのは 僕ではなくて 僕の持つ記号 もう失くしたら僕なんか居なくていいよ 居なくてもね だんだん距離を重ねたとしても 気付くことはないから 散々距離を重ねたとしても 気付くことはないんだ ふざけた踏み絵は蹴り飛ばしてみたけど それでラクになれるという訳もなく 「居場所はたくさん用意しないとすぐ囲い込まれるよ」 メモしたさ 過ぎた日の数だけ 痛みは今を悩ませ続けるのでしょう まだ在りし日を想うなら居なくていいよ 居なくてもね 散々距離を重ねたとしても 気付くことはないから だんだん息を殺したとしても 気付くことはないんだ どうせいつか忘れるようにヒトは出来ているのです…… 願うように唱えていたなら 傷も痛まないでしょう? だんだん息を殺したとしても 気付くことはないから だんだん息を絶やしたとしても 気付くはずがないんだ どうか向こうの世界に連れて行ってください そこでも同じような孤独が待っているけど ここで十分慣れたから だんだん息を絶やしたとしても 別に悼まないから 散々閉じた瞳に笑っても 僕に意味は無いんだ

about

Lopnur 2nd Album
『冬虫夏草はファンダメンタリズムに揺蕩う』
01.モノトニー
02.Ante Meridiem
03.キーウィ
04.Todays
05.影追い
06.走る王の陽徳
07.浮華
08.ユーブイ
09.ブラックマイン
10.ネビエクライド
11.蜀犬吠日
12.水と醴とサイレント
13.ロプノールの道化
14.廃黜とソリタリィ

credits

released July 26, 2011

Produced by Lopnur
All Lyrics, Music, Programming, Artwork by rokugatsu

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